税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税 基礎の基礎-5』
遺産の分割法法と注意点

遺産の分割方法
 遺産の分割は民法により、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」とされており、実情にあった合理的な分割が求められます。その方法としては次のようなものがあります。
@現物分割
A代償分割
B換価分割
C共有とする分割
 また、その手続きとしては、まず相続人間の協議によることになっています。協議がまとまらないときには、家庭裁判所の調停、審判によることになりますが、遺言で分割方法の指定があるときには、これが最優先します。

分割協議書の作り方
 相続財産について分割協議が成立することにより、分割手続きは完了します。通常は、協議が成立すると分割内容を明記した分割協議書を作成し、相続人が署名又は記名し捺印(実印を用い、印鑑証明添付)します。必ずしも書類を作成しなくてもよいのですが、登記の際の添付書類や相続税申告書の添付書類になりますので、様式を整えた書面によることが重要です。
 分割協議には、相続人全員の参加が必要であり、一名でも欠けた分割協議は無効となりますのでご注意ください。

相続人が揃わず協議ができないときは?
 相続人のうち誰かが行方不明等の場合は、「失踪宣告」をしてもらうという方法が考えられます。ただし、この場合、宣告を受けた者は法的効果として、死亡したものとみなされることになります。
 失踪宣告を受けずに分割協議するためには、家庭裁判所に申し立てて、不在者のための財産管理人を選任してもらい、この財産管理人を参加させて、分割協議をすることもできます。ただし、管理人が遺産分割の協議に同意するには、別途家庭裁判所の許可を要します。

遺産分割協議がまとまらないときは?
 利害の対立などにより、分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停または審判を申し立てて、分割してもらうことになります。調停は、家事審判官一名と二名以上の調停委員で構成される調停委員会がこれに当り、非公開で協議が行われます。協議がまとまると調書が作成され、執行力が生じます。
 調停によっても協議がまとまらない場合は、調停不成立として審判手続きに移行し、裁判所の権限で分割審判を行うことになります。

遺留分とは?
 人は生きている間はもちろん、死後も自分の財産を自由に処分することができます。ただ、遺言によって全財産を公益事業に寄付してしまったり、特定の相続人だけに全財産を与えてしまったりしては、公平を欠き、ひいては相続人の以後の生活に不安をきたしかねません。
 そこで、自由な財産処分に一定の制限を加え、相続人が最低限相続することを主張できる割合(遺留分)が定められています。

 ただし、兄弟姉妹には遺留分はありませんのでご注意ください。遺留分の割合とは次のとおりです。
 @直系尊属(父母)のみが相続人であると
  きは、各々法定相続分の三分の一
 Aその他の場合は各々法定相続分の二分
  の一
 具体的な計算については表1をご覧ください。ここまでで、相続税の計算と、遺産分割のポイントを解説いたしました。
 次回からは円満な相続を迎えるための対策の第一歩としまして遺言の作成について解説します。

表1
<例1>
配偶者と子3人が相続人の場合
配偶者・・・・・・・1/2×1/2=1/4
子各々が・・・・・1/6×1/2=1/12
<例2>
配偶者と父母が相続人の場合
配偶者・・・・・・・・2/3×1/2=1/3
父母各々が・・・・1/6×1/2=1/12

=なお、上記の内容は2000/9/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより2000年9月号掲載』