税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税 基礎の基礎-12』
無理のない納税A

相続税の納税方法
 相続税の納税方法は、現金納付のほか、前回少しお話ししました、延納、物納といった方法があります。
また、現金納付するにしても、
 @その相続財産の中でまかなうことができる場合
 Aそれぞれの相続人が、自分の預貯金から持ち出して納付する場合
 B納税分を農協(金融機関)等で借り入れする場合
の3つが考えられます。無理のない納税を考える上では、@が理想です。

納税資金を確保する
 そのためには、現金、預貯金、生命共済など、すぐに納付に当てられる財産を、ある程度確保しなければなりません。また、上場有価証券も株価の変動はともかくとして、すぐさま換金できます。
 すぐさま換金とはいきませんが、不動産も売却して納税資金に当てる事が可能です。この場合、相続した不動産等を、相続税申告期限の翌日から3ヶ月以内に売却すれば、「相続税の取得費加算」という規定により、譲渡所得税の負担を軽減することもできます。
 このように、不動産を売却して納税に当てることをお考えであるならば、分割の段階で、あらかじめどの不動産を売却に当てるのかをよく検討しておき、その不動産については、相続人それぞれの納税負担割合に合わせて共有にしておくことが、各相続人の納税資金を確保する上では大切なことになってきます。

物納を有効に活用する
 また、物納を有効に利用することも、「無理のない納税」のためには大切なことです。
 物納は、資産をそのまま国に納めますので、基本的には第三者に売却したときとは異なり、譲渡所得税がかかりません。
 ですから、物納の収納価額と、売却した場合の譲渡所得税控除後の手取り額とを比較し、有利な方を選択することになります。
 また、上場有価証券を物納する場合には、相続開始時の価額で収納されますので、申告期限までに株価が下がってしまっているような場合には売却するより有利です。
 また、相続税を支払うため不動産を売却する場合でも、申告期限に間に合うように売り急ぐよりは、延納申請をした上で、じっくり時間をかけて有利な条件で買い手を探した方がよいでしょう。

納税方法の選択
 

要件

ヒント



 一定条件がありますが、原則として相続税が10万円超の場合、申請ができます。なお、延納期間は相続財産のうちの不動産の割合によって異なります。条件により20年まで可能です。

 延納は利子税も支払うので、農協(金融機関)等で借入をして現金納付する場合と、どちらがトクかを比較することになります。現在の利子税は財産内容により1.7%〜3.4%となっています。



 物納適格財産などの条件があるので、専門的なノウハウが必要です。うまく活用すれば税務上も大変有利で、原則として、市場で換金できる額より評価額の高いものは、物納に当てたいものです。

 相続時より収納時に評価の上がったもの、例えば、相続時に貸していた土地が収納時に更地になっている場合など、財産状況に大きな変化があった場合には、収納時の評価額(この例では更地価額)で収納されるので、大変便利です。

=なお、上記の内容は2001/4/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20001年4月号掲載』