税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『具体的な相続対策-2』
住宅所得資金

 前回は、即効性のある「贈与税の配偶者控除」についてお話しました。今回も前回に引き続き、贈与税の特例を使った手法についてお話したいと思います。
 相続税のお話しなのになぜ贈与税?と思われる方もいるかもしれませんが、贈与をより有効に行えば、生前に財産を移転することができ、結果的に相続税の負担を軽減することができるからです。

まずは贈与税のしくみを知ろう!
 贈与税は個人から財産をもらった場合に、もらった人にかかる税金です。ただし、1年間110万円の基礎控除がありますので、それ以下であれば贈与税はかかりません。
 また、所得税と同様、累進課税となっていますので、一回に贈与する金額が大きければ大きいほどその税率も上昇することになります。そこでこの特例の登場です!

住宅取得資金の贈与
 「住宅取得資金の贈与の特例」は、住宅を購入するために贈与された金銭1500万円までの部分については、その贈与金額を5年間に均等に分割されたと考えて、全体の贈与税を計算することができる規定です。こうすれば5年分の贈与税の基礎控除を使用することができるうえ、累進税率により、低い税率を適用でき非常に有利です。ただし、贈与税の配偶者控除同様、適用するにはいくつかの要件がありますので注意が必要です。以下、この規定を『適用しない場合』と『した場合』とを比べてみることにしましょう。

 いかがでしょうか?通常の贈与の場合、550万円の贈与をすると上図のように84万5千円の贈与税が課税されてしまいます。ところが、この特例を適用すれば、贈与税は0になるのです。

適用するには
 それでは、この特例を適用するための要件をみてみましょう。
 @父母又は祖父母からの贈与であること(配偶者の父母はダメ)
 Aその年の所得が1200万円以下であること
 B以前この特例を使ったことがないこと(一生に1度だけ)
 その他、細かい要件もありますので、実行する場合には農協等に相談してみてください。

お孫さんへの贈与には注意!
 この特例を使ってお孫さんに贈与するときには注意が必要です。というのも、先で述べましたとおり、この特例は一生に一度しか使えないからです。
 おじいさんからお父さんとお子さんが贈与を受け、父子共有で住宅を購入してしまうと、いざお孫さんがご自身の住宅を購入するときに、お父さんからもおじいさんからもこの特例を使った贈与が受けられなくなってしまうのです。以上の点に注意しながら、みなさんも贈与を有効に利用してみてください。

=なお、上記の内容は2001/7/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20001年7月号掲載』