税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『具体的な相続対策-3』
現金の贈与

 前回前々回と、贈与税の特例を利用した対策についてみてきました。これらはいずれも即効性のある方法ですが、贈与をより有効に活用するためには、中長期的な視点でとらえた方法も必要です。なぜなら、「贈与税の配偶者控除」や「住宅取得資金の贈与」はとても効果的ではありますが、何度も利用できるものではありませんし、対象となる人も限られているからです。

現金の生前贈与
 中長期的な対策として、現金の生前贈与はとても効果的な手段です。現金の贈与は誰に対しても行えますし、非課税限度額の範囲内であれば、贈与税の課税なしに何度でも行うことができるからです。また、平成13年度より贈与税の非課税限度額が、60万円から110万円に引き上げられました。これにより、さらに有効な手段として注目されています。それでは、贈与をするときの注意すべき点についてみていくことにしましょう。

●贈与契約書を作成する
 贈与契約書を作成することは、贈与を成立させるための絶対的要件ではありませんが、その贈与の内容(贈与日、贈与者、受贈者及び贈与財産等)を明確に書面で記録しておくことは、税務上重要なことです。

●実際に贈与する
 資金の贈与である場合には、あげる人がもらう人の貯金通帳に振り込む方法により実行することが望ましいものと考えられます。(この場合、あげる人には振込票、もらう方には通帳に入金の印字がなされ、贈与資金が実際に移動したことの証拠となります。)また、定期貯金等をそのまま贈与する場合には、その証書の名義書替えを行い、その贈与の事実を明確にしておく必要があります。

●通帳、カード、証書及び印鑑の管理が重要
 もらう人の振込みを受ける通帳及びそのキャッシュカード、名義書替えがされた定期貯金証書はいずれも、もらった人が独自に管理している(届出住所ももらった人の住所であることが大切です。)ことが必要です。

●もらった人が貯金を自由に引き出せる状況にある
 最後に重要になってくるのが、貯金をもらった人がそのお金を自由に使える状況にあることです。契約書も作り、資金も移動したとしても、それがもらった人の自由にならないお金ならば、税務上贈与が成立しているとはみられません。
以上の4点がポイントです。
 また、より贈与を確実にするために、基礎控除額を少しオーバーした贈与をお勧めします。例えば120万円贈与して1万円の贈与税の申告をするのです。これで税務署にも贈与の事実を証明することができます。ただし、毎年同じ時期に同額の贈与することは危険です!「連年贈与」とみなされ、贈与の初年度にまとめて課税される危険性があります。
 ですので、実質的にも贈与の意志をもって、毎年の贈与時期・贈与金額に変化をつけるなど、連年贈与の認定をうけないための注意が必要です。

今月のポイント

@贈与契約書を作成する。
A実際に贈与する。
B通帳・カード・印鑑などの管理者はもらった人でなければならない。
Cもらった人が自由に使える状況でなければならない。

連年贈与にはご注意!!

=なお、上記の内容は2001/8/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20001年8月号掲載』