税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『税務Q&A 具体的な相続税対策-4』
子供が親の土地に家を建てる場合

今回は、組合員の方から寄せられた質問についてみなさんにご紹介したいと思います。

“ご質問”
 東京でアパート暮らしをしていた息子夫婦が、子供が生まれたことをきっかけに帰ってくることになりました。
 私どもの自宅では手狭なので、私が所有している近所の土地に、新たに息子名義で新築する予定です。
 そこで心配なのですが、建築資金を援助してあげて、息子名義で建物を建築してしまうと、贈与税がかかってしまうのでしょうか?
 また、息子にはタダで土地を貸すつもりなのですが、その息子が得をした地代分についても、贈与とみなされて、贈与税がかかるようなことはないのでしょうか?

“ご回答”
 このように、親が所有する土地に、息子さんの自宅を建築するケースはよく見られることです。ご両親にとっても、近くに息子夫婦が暮らしているのであれば老後も安心ですし、息子夫婦にとっても、土地を新たに購入する必要がないうえに、子供を親に見てもらえるので、とても助かります。
 ただしご質問のとおり、贈与税については気をつけなければなりません!ちょっとしたミスで、何百万円もの贈与税!などというケースもあり得るのです。

建物名義には注意!
 そこで、まず注意しなければならないのが建物の名義についてです。親が建築資金を援助し、建築した建物を、息子さんの単独名義で登記してしまいますと、ご質問にあるとおり、贈与とみなされ、贈与税が課税されてしまいます。

これを避けるためには、
 @親が援助した金額相当分は親の名義を入れ、息子さんとの共有持分として登記することです。
あともうひとつ、忘れてはいけないのが、
 A前々回お話しました、贈与税の特例「住宅取得資金の贈与」を利用することです。これを利用すれば、550万円分は息子さんに贈与し、それを超える部分についてのみ親御さんとの共有、という形で登記を行うことにより、贈与税の課税を回避することができるのです。

地代はタダで!
 次に地代について考えてみましょう。
 通常、他人の土地に建物を建てる場合には、「借地権」の問題が発生します。他人同士であれば、高額な権利金を払って建物を建てるのが通常です。この場合には、建物所有者は建物のほかに借地権を取得することになるわけです。
 しかし、親子の間で建物を建てたからといって、高額な権利金を支払うという考え方は不自然です。
 そこで、親子間等の無償の貸し借りは自然な行為として、その地代についても贈与とはみなさず、借地権についても建物所有者に移転しないという、「使用貸借」が認められています。
 ですから、地代はタダでも贈与税が課税されることはありません。逆に、地代を取ってしまいますと、「使用貸借」に当てはまらなくなってしまいますので、借地権の課税の問題が発生してしまい、権利金の課税という形で思わぬ贈与税が課されてしまうこともありますので注意が必要です。

同じ敷地内は注意!
 最後に、息子さんの建物を同一敷地内に立てる場合には、注意が必要です。親子で生計が別の場合には相続税の特例である、「小規模宅地の評価減」が適用できなくなってしまうケースがあるからです。
 この問題は複雑ですので、同一敷地内に建築する場合には、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

=なお、上記の内容は2001/9/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20001年9月号掲載』