税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『税務Q&A 具体的な相続対策-6』
現金・預貯金はいくらで申告すればいいの?

今回も前回に引き続き、組合員の方から寄せられた質問について、みなさんにご紹介したいと思います。

“ご質問”
 父が亡くなり相続税の申告をしなければなりません。
 申告には、現金・預貯金も計上しなければならないとのことですが、相続発生前に、今後の支出に備えて、父名義の通帳から貯金を一部おろしました。そこから入院費や生活費、葬式費用を出したのですが、まだ手許に300万円ほど残っていたので、つい自分の趣味であるゴルフクラブのセットを50万円で購入してしまい、残金の250万円を私の通帳に入金してしまいました。
 この場合、申告書には現金をいくらで計上すればよいのでしょうか・・・
 申告をごまかすつもりはないのですが、今さら使ってしまった現金も戻りませんし、通帳に入金してしまったものを出すのもバツが悪くて・・・

“ご回答”
 心配は要りません。税務署は、使ってしまったお金について責めるようなことはありません。相続税の申告書に、その使ってしまった現金や貯金も合わせてお父様の現金として計上し、あなたがそれを、遺産として取得したかたちにすればよいのです。これは、厳密にはお父様からあなたへの貸付金ですが、現金で計上しておけば課税上問題はありません。
 また、相続税は、相続発生時点の現金を申告することになりますので、死亡後に支払った葬式費用分についても計上することになります。その分、葬式費用はマイナスの財産として計上するのです。

現金の申告漏れ 重加算税事案が増加!!
 先日、国税庁より相続税の調査実績が公表されました。1年間で約1万2千件の調査が行なわれ、その内の92%から申告漏れが見つかっているのです。
 申告時の資産の内訳は左図のとおりです。地価が下落しているとはいえ、相続税の課税対象の大半が土地になっていることが分かります。相続税の対策を考えるうえでも土地がいかに重要か、お分かりいただけると思います。
 次の図は、調査により申告漏れが指摘された財産の内訳です。現金・預貯金の申告漏れがいかに指摘されてしまうか・・・お分かりいただけると思います。

どうしてわかるの?
 「マルサの女」など、テレビで、隠し金庫の現金がばれてしまったり、畳の下に隠した瓶櫃から現金が出てきたり・・・そんなシーンを見かけます。どうしてそんな所にあるものがわかってしまうのでしょうか?
 簡単なことです。税務署は毎年確定申告を通じ、その人にどれだけの収入があるか把握していますし、土地を売却し多額のお金が入ればそれも把握しています。そこから逆算し、その人が死亡したときにどれだけの現金・預貯金があるべきか計算するのです。調査を受け、そのお金の使途が証明できず慌ててしまい、ついお金が隠してある所に目線がいってしまう・・・そんなことから申告漏れが把握されることもあるのです。

=なお、上記の内容は2001/11/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20001年10月号掲載』