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今回も前回に引き続き、皆様方から寄せられた質問についてご紹介したいと思います。
“ご質問”
私には子供が三人おりますが、妻を早く亡くしたせいか、長男はぐれてしまい、私の財産を当てにし定職にもつかず、毎日ふらふらしています。また浪費家で、このままでは不動産を処分しなければ生活費を工面することもできない状況です。
幸い次男はしっかり者なので、家は次男に継がせたいと考えています。ただ聞くところによると、法的には兄弟全員が平等に相続する権利があるとのことですが、長男にはもう十分な財産をあげているので、私に万が一のときに長男に財産を相続させない、よい方法はないでしょうか?
“ご回答”
長男の方にはすでに財産を贈与しているわけですから、そのうち一定の金額は、民法でいう「特別受益」として長男の相続分を減らすことができます。これが、長男の法定相続分である3分の1に達していれば、あなたに万が一のことがあっても、法的には長男に財産を分配する必要がありません。ただ、遺産分割の手続きは必要なので、長男が納得しなければ、裁判で決着をつけることにもなりかねません。これを避けるには、家庭裁判所に「相続人廃除の申立」をし、長男を完全に相続人から除いてしまう方法もよいのかと思われます。
“特別受益とは”
今回のように、相続人の中に贈与を受けた者がいる場合、遺産分割の際、これを無視して財産を分けてしまっては、生前にもらっていた人と、もらっていない人の間で不平等が生じてしまいます。これを調整し、相続人間の平等を図るのが、「特別受益」の制度です。ただし、「特別受益」の範囲は限定されていて、結婚のための支度金や、世帯を持つときに住宅を立ててあげたとか、商売を始めるために資金を出してあげた場合など一定の場合で、通常の生活費として贈与した金額は特別受益とはなりません。今回の場合、どのような形で長男に贈与があったのか、個別的に判断しなければなりませんが、生活費が大半を占めているケースでは特別受益の金額は限られますので、長男から相続分を主張された場合に財産をまったく相続させないことは難しいでしょう。
“相続人の廃除とは?”
「廃除」とは、あなたに対して長男が「虐待・重大な侮辱・著しい非行」をした場合に、家庭裁判所に請求することにより、長男を相続人から除いてしまう手続きのことです。廃除は、長男の相続権を奪ってしまうものですから、当然遺留分もなく、長男を除いたところで分割協議が成立するのです。ただし、長男に子供がいる場合には注意が必要です。廃除された人は死亡した人と同様、子供がいれば相続権が子供に代襲するので、廃除しても実質的な効果はありません。
また、廃除は相続権を奪うという強いものですから、要件はかなり限定されています。今回のケースでは暴力等はないようですから、浪費癖が著しい非行に当たるかどうかです。判例では「職業を転々とし浪費を重ね、父に多大の経済上の負担をかける場合は著しい非行に当たる」としています。浪費の内容を個別的に判断しなければはっきりしたことはいえませんが、廃除申立が認められる可能性は十分考えられます。また、廃除後もあなたの意志により、廃除を取り消すことも可能です。
相続税法上はどうでしょうか・・・
廃除は法定相続人が一人減るわけですから、基礎控除も減少し、相続税の総額は増えることになります。
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