税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税 基礎からのステップ』
デフレ時代における納税方法
相続税の物納を考える@

 現在、日本は未曾有のデフレ時代を向かえ、経済状況はますます先行き不透明になってきました。これにより土地の価格も年々下落を続け、この地域においてはこれからもまだ下落を続けることが予想されます。

デフレ時代は納税対策が重要!
 このような時代が発生すると、一番問題になるのが納税方法です。
 相続税の計算は、お亡くなりになった日現在の時価を根拠に計算するので、謹告期限(10ヶ月後)までに価格が下がったものについても否応なしに相続発生時の価格で相続税は課税されます。例えば、相続発生時、100万円した株が十ヵ月後50万円になってしまったとしても、相続税は100万円に対し課税されます。このとき株を売却し、納税に当てようとしても50万円にしかならなくてもです・・・
 株ではなく、土地についても同様です。今の時代、物納に頼らず、土地の売却で相続税を払おうとしても、相続評価額である路線価では到底売却出来ず、場合によっては先ほどの株式同様、半額になってしまうケースも考えられます・・・

物納は目減りしない?
 これに対し、物納はどうでしょう?物納財産の収納価額は基本的に相続発生時点の価額で収納されます。申告期限の10ヵ月後に経済状況の変化により、土地の価額が半額になってしまっても10ヶ月前の価額で納税が可能なのです!このように物納は、デフレ時代にあった納税方法といえましょう。

平成13年物納申告状況
 昨年、国税庁より平成13年度物納申請状況が公表されました。物納件数は全国で約5,700件。バブル崩壊以来、毎年少しずつ減少しているものの、これからも物納による納税を選択する方は、ほぼ横ばいになると思われます。
 また右図の「相続財産の種類別内訳」を見るとおり、相続財産の6割以上を土地が占める日本の財産状況を考えますと、いかに物納を上手に利用するか!がこの後の相続人の生活に大きく影響することになります。つまり、物納の利用の仕方をいっぽ間違えると、財産を大きく失ってしまう危険もあるのです。

平成13年度物納処理状況
 平成13年度の物納処理件数を見てみると、1年間で約6,500件の手続きが行われています。そのうち許可された件数が4,800件、許可されないものの中には自ら取り下げた案件も多く含まれますが、約26%、つまり4分の1が許可を受けていないことになるのです!
 皆さんの中には「あの土地を物納すれば相続税は心配ない・・・」と考えていらっしゃる方も多いことでしょう・・・ですが現実には4分の1の物納が何らかの形で許可を受けずに処理されているわけです。
 また逆に「駐車場や空き地などの更地しか物納できない!」そう思っておられる方もいるかもしれません。しかし、やり方によっては、借地権が付いている底地や、アパートの底地を物納することも可能なのです!
 物納にはいろいろな要件があり、いろいろな方法があります。
 次回は、物納の要件や基本的な考え方についてお話したいと思います。

=なお、上記の内容は2003/2/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20003年2月号掲載』