税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税 基礎からのステップ』
納税許可を受けるためには
相続税の物納を考えるB

物納を受けるためには
@延納でも納付が困難であり、かつ、その納付を困難とする金額を限度とする。
A申請財産は定められた種類の財産であり、かつ、定められた順位によっている。
B期限内の申請であること。
C物納適格財産であること。
の四つの要件を満たす必要があることは前回お話しました。今回は二つ目の要件である「物納に充てることができる財産の種類と順位」から見ていくことにしましょう。

物納可能な財産の種類とは?
 物納にあてることができる財産は、その相続税の計算のうち、次に揚げる財産で、その所在が日本にあるものに限られます。

物納に充てることができる財産の種類

順位

国債、地方債、不動産、船舶

第1順位

社債・株式、証券投資信託又は貸し付け信託の受益証券

第2順位

動産

第3順位

 物納に充てることができる財産が2種類以上ある場合には、この表の順位で物納に当てる必要があるのです。有価証券や、投資信託を物納に充てたくても国債や不動産がある場合にはそちらを先に物納に当てなくてはならないのです。ただし例外として先順位の財産に適当な価格のものがない場合には、順位を無視して物納することが出来ます。
 例えば、物納税額1千万円。これに充てる所有不動産は4千万円。分筆して一部物納に充ててしまってはこの不動産の利用価値が大幅に下がってしまうようなケース。このとき他の財産として株式を1千万円所有している方ならば、不動産に優先して株式を物納に充てることも可能でしょう。
 また、税務署長が特別の事情があると認めた場合にも、この順位を無視して物納することができます。
 例えば、不動産を物納すれば居住し又は営業を継続して通常の生活を維持するのに支障をきたすようなケースでは、不動産に優先して株式を物納に充てることも可能と思われます。

期限内にされた申告であること
 それでは三つ目の要件、「期限内にされた申請であること」を見ていきましょう。
 物納申請書は物納しようとする相続税の申告書の提出期限にあわせ、関係書類を添付の上、税務署に提出しなければなりません。
 相続税の申告書は法定期限内(相続発生より10ヶ月以内)に提出されていれば、物納申請書の提出期限も10ヶ月以内になります。
 また相続税の申告書の提出が、申告期限に間に合わず、期限後申告で提出している場合には、その申告書の提出の日が、物納申告書の提出期限となります。ただ、期限後申告はいろいろ不利益となりますのでお薦めできませんが・・・。
 これらをまとめて考えてみると、物納申告書は必ず相続税の申告書と一緒に提出するよう心がければ、この三つ目の要件を満たさずに、物納が認められないということはないでしょう。

 いよいよ次回は最後の要件である、「物納適格財産」について、そして今後は皆様から寄せられた具体的な事例に基づき、物納の可否について、ご一緒に考えていきたいと思います。

=なお、上記の内容は2003/5/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20003年5月号掲載』