税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税 基礎からのステップ』
納税許可を受けるためには
相続税の物納を考えるC

物納を受けるためには
@延納でも納付が困難であり、かつ、その納付を困難とする金額を限度とする。
A申請財産は定められた種類の財産であり、かつ、定められた順位によっている。
B期限内の申請であること。
C物納適格財産であること。
の四つの要件を満たす必要があることは前回までにお話しました。今回は四つ目の要件である「物納適格財産であること」について見ていくことにしましょう。

物納不適格財産とは?
 物納にあたり一番問題になりやすいのが、その財産が「物納適格財産」として認められるかどうかにあります。実務的には土地を物納するケースがほとんどですから@の納付困難事由さえ説明でき、Bの申請をしていれば残る問題は物納不適格財産に当たらないようにすることです。
 物納財産は、その財産の価値も重要ですが、「現金化するまでの管理及び現金化手続きが簡易なもの」であることがもっとも重要な要件となります。ですから、維持・管理に多額の費用、特殊な技術を要する財産とか、現金化するのが難しい財産は、例え相続税の申告において高い評価額で計算されている資産であれ、不適格財産とされてしまうのです。
 具体的には次に揚げるような財産は管理または処分をするのに不適切な財産として取り扱われます。

抵当権などの担保権の目的となっている
 担保権の目的となっている財産を物納財産として収納することは、納税者の債務を国が物上保証することとなります。このため、不適格な財産として扱われてしまい、物納を受けることができません。

共有財産
 共有物の一部について物納を認めると、他の共有者と国とが共有関係になり、いざ処分するときには共有者の同意を得なければ売却することができない等、制限を受けることになるので不適格とされています。ただし、共有者全員が持分の全部を物納する場合は、全体を一度に収納することとなりますが、許可されます。また、共有持分は、共有者間で話し合いがまとまればいつでも共有物の分割をして単独所有にすることが出来ますので、相続申告時には共有状態にある土地でも、国が収納する時までに装束人の間で分割の登記が済んでいれば物納することが可能です。このとき分割後の土地は当然単独で他の物納要件を満たしている必要がありますので、共有物の分割のしかたについても注意が必要です。

所有権が誰にあるかなど、係争中の財産
 「係争中の財産」とは、所有権の帰属、不動産の利用権、担保権等について争いがある場合をいいます。例えば@所有権の帰属について係争中の物権を物納財産として収納した後に、所有権がないことが確認された場合には、物納の許可そのものが無効となります。また、A賃貸借契約の有無など不動産の利用権の存否を争っている場合にも、争いがいつ解決されるか、解決されるまで何年も売却できないようでは困ります。以上のことから不適格とされています。
 その他にも差し押さえがされているなど法令により譲渡が禁止されている資産、境界が明確でない土地・建物が越境している土地など、さまざまな不適格要件があります。

 次回は皆様から寄せられた具体的事例に基づき、物納の可否について考えていきたいと思います。

=なお、上記の内容は2003/6/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20003年6月号掲載』