税務研修室
− Tax Seminor −

税理士 鷹野 保雄

『相続税の物納を考える』
アパート・貸宅地の底地は物納できるの?
物納事例〜そのE〜

更地以外の土地でも物納は可能?
質問その1

 先日、父がなくなったのですが、父が残してくれた財産は古くから貸している宅地で他人の借地権がついている土地が多く、その他はアパートの敷地・自宅・これから貸店舗を建て有効利用を計画中の空地と預金です。
 なんでも、物納は空地など更地でしかとってもらえないようなうわさを聞いたのですが、今計画中の有効利用をあきらめて、ひとつしかないこの空地を物納にださなければならないのでしょうか?

回答その1
更地以外の土地でも物納は可能です!

 アパートの底地や貸宅地であるという理由のみで、物納財産として不適当ということにはなりません。アパートの底地(自用底地)であれば、他に物納に充てる財産がない旨を税務署に説明することにより物納が可能なケースもあります。他人の借地権などがついている底地については、借地人と適切な賃貸契約が満たすことにより物納が認められるケースもあります。
 これらの要件をクリアすれば、空地の有効利用をあきらめる必要はないのです!

解説
アパートの底地の物納

 アパートの底地など、上に被相続人の権利が付いている土地(自用底地)については、更地や他人の借地権の目的となっている底地よりも物納財産の優先順位が下位になっています。これらの物納財を認めてもらうには、他に物納に充てる適切な財産がないことを税務署に説明し、認めてもらわなければなりません。具体的には、現在空地にはどのような有効利用の計画がなされているのか、その計画案等を提出したり、その他の借地等についても物納できない理由をひとつひとつ説明することになります。
 税務署は、空き地以外すべての土地が物納不適合でない限り、その空地の有効利用計画を中止してまで優先的に物納を要求するようなことはありません。
 皆さんも、ご自身にとってどの土地が「守るべき土地」であるか、十分に検討したうえで、物納にだす財産を検討してみてください。

底地物納のよい点
 アパートの底地を物納で提出するということは、土地の所有権は国に転移してもアパート自体は相続人の財産として残すことができますし、それにともなう借地権も相続人の権利となります。ですからその後のアパートからの収入はそのまま相続人が取得することができ、その収入を貯蓄すれば将来底地を買い戻すことも可能なのです。収益性のいい物件であればこのように底地物納も財産を守る!非常に有効な手段となります。ただ、収納後はご自身が借地人となるわけですから、毎年一定の地代を国に支払うことになります。収益性の低い物件では十分な収益の確保ができず、地代が負担になってしまうこともありますので注意が必要です。

 次回は他人の借地権がついている底地の物納についてお話ししたいと思います。

=なお、上記の内容は2003/12/1現在の税法などに基づいて記述しています。=

『ほほえみだより20003年12月号掲載』