| 前月号のテーマ「消費税」の続き(最終回)ですが、今月は「簡易課税と原則(本則)課税の有利・不利」を中心にお話します。
原則課税か簡易課税か、どのような点から有利・不利を判断すれば良いのでしょうか?
ポイントは、「課税仕入高はどちらの方が多くなるか?」です。先ず、前回お話したように、簡易課税は基準年度(2年前)の課税売上高が5千万円超であれば、たとえ簡易課税を選択する届けを提出していても自動的に原則課税となることを頭に入れておくことが必要です。従って、課税売上高が5千万円以下の場合に初めて有利・不利が分かれます。
簡易課税が有利なケースは、事業の性質(分野)によって課税仕入高が少ない場合です。例えば人件費が全体の経費の中で占める割合が多い分野です。人件費は非課税仕入に該当しますので、その分だけ課税仕入高が少なくなります。例えば、第4種の飲食業で従業員の人件費の経費割合が40%を上回る場合は、簡易課税のほうが有利です。
原則課税が有利なケースは、前回で説明しました設備投資をする場合などです。例えば、工場や店舗を新たに建設すると、建設会社に支払う代金が丸々課税仕入に該当します。このような場合は課税仕入高が多いため、もしも課税売上高を上回ると、消費税の還付(税務署からの入金=雑収入)が発生します。簡易課税は、一度選択の届けを提出すると2年間の継続適用の条件がありますので、設備計画の時期を考えながら簡易課税の選択と取消の届けをタイミング良く税務署に提出するようにすると、節税になります。
原則課税を選択しましたが、課税売上割合が95%未満の場合、個別対応方式か一括比例方式かの選択はどうしたら良いでしょうか?
課税売上割合が低い場合、一括比例方式は不利です。例えば、消費税の掛からない土地の売上があった時は、総売上高に占める課税売上が少なくなるので課税売上割合が低くなり、たとえ実際の課税仕入高が多くても、その低い割合でしか課税仕入高を控除できません。従って、多めの消費税を納めることになります。この様なケースでは、明らかに個別対応方式が有利です。
事業を新しく始めた場合は、何か特典がありますか?
課税事業者に該当するか否かの判断は、2年前の基準年度の課税売上高が1千万円超の場合に申告義務が生じます。従って、たとえ今年度の課税売上高が1千万円以下であっても、申告(納税するか還付を受けるかのどちらか)をしなければなりません。すなわち、新規事業者は基準年度が無い当初の2年間は申告義務がありません。3年目に初めて1年目の課税売上高が基準年度に当たるので、1千万円超があった場合のみ申告することになります。但し、新設法人で期首資本金か期首出資金が1千万円以上の会社は、当初の2年間の納税免除がありません。すなわち申告義務が生じます。そして、3年目に初めて基準年度の課税売上高で申告義務の有無を判断することになります。 おわりに
消費税は、事業が黒字であると初めて納税する法人税と異なり、赤字でも納税が発生する税金です。しかも、平成16年4月1日から始まる事業年度(個人事業者は平成17年1月1日)から課税売上高が3千万円から1千万円に引き下げられたことにより、かなり多くの事業者が消費税を申告しなければならなくなりました。従って、簡易課税制度の利用や正確な取引区分により、効率良く申告納税することが重要となります。
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