− Tax Seminor −

税理士 和田 造

『税務訴訟の実務を考える2』
税務署の処分はどうなるか?
ー 裁判手続き
のポイントをつかむ! ー

 今月は、下記の訴訟手続きの流れで見て、後半の部分に入ります。すなわち税務署長が申告書の内容を修正して税金を追加してきたので@、税務署長へ異議申立てしAB、更に国税不服審判所へ審査請求しましたがC、国税不服審判所長が下した裁決Dが納得できない場合に、最後に裁判を起こすE、税務訴訟手続の概要を解説します。
訴訟手続の流れは?

@ 税務署長がした処分

   ↓

A 税務署長への異議申立て(2ヶ月以内)

   ↓

B 税務署長がした異議決定

   ↓

C 国税不服審判所長への審査請求(1ヶ月以内)

   ↓

D 国税不服審判所長がした裁決

   ↓

E 地方裁判所への訴え提起(6ヶ月以内)

   ↓

F 地方裁判所がした判決

   ↓

G 高等裁判所への控訴

   ↓

H 最高裁判所への上告

※青色申告書に係る更生等の場合は、@からCへ、2ヶ月以内に、直接審査請求することができます。
税務訴訟とは?
 租税に関連して生じる、法律上の紛争を解決するための、裁判所の手続きのことを言います。税務訴訟には様々な形態のものがありますが、最も一般的なものは取消訴訟です。税務官庁の処分や、これに対する異議決定・裁決が違法であるとして、その取消を求める訴訟のことです。但し、通常は原処分自体に不服があり、その適否を争う場合なので、原処分自体の取消を求める訴訟を提起することになります(原処分主義)。この他、無効等確認訴訟というものも有りますが、これは税務官庁の処分や、これに対する異議決定・裁判が無効であるとして、無効の確認を求める訴訟のことです。また、税務職員の権限を濫用した違法な税務調査によって損害を受けた場合などでは、損害の賠償を国等に求める国家賠償請求訴訟というものも有ります。
訴訟の関係者は?
原告納税者側の実務者は?
 税務訴訟は、税務者自身が自分で行うことも勿論できますが、一般的には時間的な余裕や法律・訴訟の知識が無いので、訴訟の専門家である弁護士を訴訟代理人として選任し、訴訟の追行を委任します。また、特に税務訴訟においては、税法の専門家である税理士を補佐人として選任すれば、訴訟代理人である弁護士と共に、裁判所で効果的に陳述することが出来ます。(補佐人税理士は、税理士が大学院で税務訴訟実務を研修する制度がありますので、税理士会に問い合わせれば、終了した税理士を紹介して貰えます。)
被告国側の実務者は?
 行政庁の処分が争われる訴訟については、その行政庁または法務大臣が職員を指定して訴訟を行います(指定代理人制度)。具体的には、法務省等の訟務検事・訟務官と、各国税局で訴訟を専門に担当している国税訟務官が担当者となります。

税務訴訟の流れは?
 一般的に民事訴訟と行政訴訟の手続きの流れを見てみると、申立て・主張・立証の3つの段階から構成されています。
@申立て

 税務訴訟は、納税者が裁判所に対して、自己が求める裁判の申立てをすることから開始されます。これが、「訴えの提起」であり、「訴状」と呼ばれる書面を裁判所に提出することにより行います。
A主張
 
原告および被告は、その求める裁判がなされるべき理由を主張することが必要です。これらの主張は、法律上の主張と事実上の主張に分けられます。
B立証
 原告および被告は、判決の基礎となる事実について、証拠によってその事実の存否を立証することが必要です。裁判官が「事実が存在するか否か」という事実認定をする際に用いる材料のことを「証拠」と言います。
参考
 統計によれば、納税者の勝つ確率は約10%です。
訴訟費用は弁護士費用等を除けば訴訟目的価額100万円毎に3千円程度です

『ほほえみだより2006年5月号に掲載』