− Tax Seminor −

税理士 和田 造

『地方税の税務訴訟を考える』
住宅用地の特例適用はどうなるか?
ー 高裁判決
のポイントをつかむ! ー

 今月は、共有持分を有する住宅用地に対する課税標準の特例に関する税務訴訟を簡潔に紹介しましょう。

事件の概要は?
 この事件は、原告であるAさんが、平成16年度の固定資産税および都市計画税に係る各賦課処分に関して、被告であるB市長を訴えた事案の高等裁判所判決です。
事件の争点は?
 本件の争点は、土地について地方税法に定める住宅用地に対する課税標準の軽減措置の特例が適用されるかどうかです。具体的には、特例の適用対象となるための土地上の「家屋」の意義について、@土地に建っている区分所有権の目的となる店舗・駐車場・住宅から成る複合ビルの全体を1個の家屋と見るか、A区分所有権の目的である各占有部分を1個の家屋と見るか、の違いでした。原告は、同じ面積でも一戸建やAは軽減措置が適用されるのに、@では建物全体の住宅部分の面積割合(特例適用は4分の1以上)によって軽減措置の特例が適用されなくなるので、税負担公平の原則に反すると主張しました。
裁判所の判断は?
 一審の地方裁判所の判断は、@の複合ビルの全体を1個の家屋と見て軽減措置を認めないことでした。控訴審である二審の高等裁判所の判断は次の通りでした。「固定資産税の課税対象となるのは区分所有に係る1棟の建物および共有土地であり、各区分所有者が建物の共有部分ないし共有土地に係る持分に応じた税額を負担することを定めている。従って、本件特例の「家屋」とは土地に建っている店舗・駐車場の非居住用部分と居住用部分から成る複合ビルである建物全体を言うと解釈すべき」として、原告の主張を認めませんでした。

『ほほえみだより2006年8月号に掲載』