− Tax Seminor −

税理士 和田 造

『法人税の税務訴訟を考える』
寄付金と繰延資産の判断は?
ー 地裁判決
のポイントをつかむ! ー

 今月は、工場建設のために用水路を整備した費用が、国等に対する寄付金となる(県と市の認識)か、繰延資産となるか、が争われた税務訴訟を簡潔に紹介しましょう。

事件の概要は?
 この事件は、原告であるA社が、清涼飲料水を製造する新工場を建設するに際して、建設用地の中央を流れる用水路を暗渠構造にする整備費用を、国等に対する寄付金と判断して、全額を損金処理して法人税の確定申告書を提出しましたが、被告であるB税務署長は、整備費用を繰延資産と判断して、全額の損金処理を認めずに、「更正処分」を行ったものです。

事件の争点は?
 本件の争点は、用水路の整備費用が寄付金に当たるか、繰延資産に当たるか、です。
 寄付金とは、名義を問わず、法人がした金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与を言います。そして、法人が支出した寄付金のうち、損金算入限度を超える部分の金額は、損金に算入できませんが、国又は地方公共団体に対する寄付金は、損金算入限度額の対象とはならないので、全額が損金に算入できます。
 繰延資産とは、法人が支出する費用のうち、支出の効果が以後1年以上に及ぶもので、自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良の為に支出する費用も含まれます。

裁判所の判断は?
 「原告のA社は、用水路を専ら使用しているとは言えず、一般の者と比較して用水路から特別の便益を得ているとも言えないので、用水路整備費用は繰延資産とは認めることができず、寄付金であると認めるのが相当である。従って、被告B税務署長の更正処分は、違法である。」と判断しました。

『ほほえみだより2006年9月号に掲載』