− Tax Seminor −

税理士 和田 造

『所得税の税務訴訟を考える』
ストックオプションの判断は?
ー 最高裁判決
のポイントをつかむ! ー

 今月は、納税者が勤務先の日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として所得税の申告をしたことについて、国税通則法の「正当な理由」が有るとされた最高裁の判決を紹介します。

事件の概要は?
 この事件は、上告人であるAさんが代表取締役等として勤務していた会社の親会社である米国法人から付与されたストックオプションを行使して得た権利行使益について、Aさんは平成8年から平成11年まで一時所得として確定申告しましたが、被上告人である税務署長の給与に該当するとした不可決定処分が争われたものです。ストックオプションに係る課税上の取り扱いに関しては、租税特別措置法うあ所得税法施行令で、外国法人から付与された場合については現在まで法令上は特別の定めが置かれていません。この点について課税庁は、かつては一時所得として取り扱っていましたが、平成10年分の所得税の確定申告時期以降は、その取り扱いを変更して給与所得(税額が増えます)としましたが、この点が「通達」により初めて明示されたのは平成14年6月でした。

事件の争点は?
 本件の争点は、外国法人から付与されたストックオプションを行使して得た権利行使益を給与所得として確定申告しなかったことが「正当な理由」に当たるか?でした。

裁判所の判断は?
 「真に上告人の責めに帰することのできない客観的な事情があり、国税通則法65条4項にいう正当な理由があるものというべきである」と判断して、Aさんが勝訴しました。
(高裁判決は法令違反)

ストックオプション・・・企業が、自社の株式を上場する前の低額な価格で、その株を購入できる権利を、事前に関係者などに与えること。上場すると、通常10倍から50倍くらいの価格がつきます。その購入価格と売却価格の差額が、所得となります。
 社員関係者が、上場に向かい一丸となり努力する意識づけを主な目的としています。

『ほほえみだより2006年11月号に掲載』