− Tax Seminor −

税理士 和田 造

「税制改正(案)を考える」
来年の税金がどうなるか?
〜変更税制のポイントをつかむ〜

 平成18年12月14日に自由民主党・公明党の「平成19年度与党税制改正大綱」が公表されました。安倍内閣の掲げる成長重視路線を反映し、企業や富裕層向けを中心に減税を多く盛り込んだ内容となりました。

【経済活性化項目】
●減価償却制度は、企業が機会などの生産設備を購入した場合に、その取得額の一定割合を耐用年数の期間内に損金として毎年の課税所得から差引き、税負担を軽くするものですが、2007年度以降に取得する減価償却資産については、現行の課税所得から差引ける減価償却の95%限度額を撤廃し、全額を損金に算入できるようになります。(但し、資産が残っている証拠として1円の備忘価額を残します。)なお、2006年度までに取得した減価償却資産は、償却可能限度額(取得価格の95%)まで償却した事業年度の翌事業年度以後の5年間で均等償却できます。
●現行では、経営者自身が大株主である同族会社が、経営者の所得課税逃れのために利益を不当に会社内部に留保金として溜め込むことを防止する目的で、留保金に特別の法人税を課税していますが、改正案では、この特別課税を資本金1億円以下の中小企業に限り撤廃します。
●特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度において、適用除外基準の所得金額が、現行の800万から1600万円に引き上げられます。
●中小企業の事業継承を促進するために、相続時精算課税制度で株式などの贈与を受ける場合には、贈与者の年齢を60歳に引き下げ、非課税枠を500万円上乗せして3000万円に拡大される特例が設けられます。
●寄付金控除の限度額は、現行の総所得金額などの30%から40%に引き上げられます。
●買収企業である親会社が、子会社と被買収企業を合併させて傘下に置く三角合併が2007年に解禁されますが、被合併会社の株主が買収時に株式を手放す対価として親会社を受け取る際に、譲渡益(売却益)に課税しないで、交換された親会社株を実際に売却する時に初めて課税する課税の繰延が認められます。

【住宅関連項目】
●国から地方への税源移譲の影響で、現在実施している住宅ローン減税の減税額が小さくなる人が出るので、2007年と2008年に住宅を取得した人を対象に救済策として、住宅ローンの減税期間を現行の取得後10年から15年に延長します。
●住宅を買い替えた際の売却損を、最大4年間にわたり所得から控除できる住み替えの特例を、3年間延長します。
●ローンを利用して高齢者などが住む住宅のバリアフリー改修工事を行う人は、工事費のローン残高(200万円が限度)の2%を所得税から控除できます。更に、固定資産税を1戸あたり100u相当分までは、工事の翌年度分について3分の1に減額できます。

【証券税制項目】
●現行では、上場株式などの譲渡(売却)益と配当への課税は、株式市場活性化策として本来20%の税率を10%に軽減している優遇税制を、譲渡益は2007年末まで、配当は2008年末までで終了する予定を、それぞれ1年間延長します(その後は廃止されますが、異なる金融商品の所得を一元化する損益通算の拡大を検討します)。

【子育て支援項目】
●企業に託児所の整備を促し、共働きの家庭などの子育てしやすい環境づくりを目指して、2007年度から2008年度に青色申告法人が託児施設を新設した事業所については、設置費用の減価償却額を5年間にわたり20%(中小企業は30%)の割り増しをする、前倒し償却が認められます。

【再チャレンジ関連項目】
●企業が、退職後の高齢者や障害者などを積極的に雇用する他の企業に寄付する場合は、非課税寄付金枠を拡大します。

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『ほほえみだより2007年1月号に掲載』