− Tax Seminor −

税理士 和田 造

「消費税の税務訴訟を考える」
売立代金の受取人は誰か?
〜地裁判決のポイントをつかむ〜

 今月は、消費税の確定申告書を一旦は提出した公益法人が、2年間の消費税免除が受けられる新設法人を理由に確定申告書の取下げ(更正の請求)を税務署に請求しましたが認められなかったため税務署との争った裁判を紹介します。

事件の概要は?
 この事件は、A町が建設した温泉施設の運営を初めは民間のB社に任せていましたが、その温泉施設が公共施設であり地方自治法に違反する恐れが出たため、A町は急いでX公益法人を設立して、X公益法人がB社へ温泉施設の運営を委託する形に変更しました。
その3年後に、B社が温泉施設の運営から撤退したため、X公益法人は自ら運営を引継ぐことになりました。その時にX公益法人はY税務署へ「収益事業開始届出書」と「消費税課税事業者届出書」を提出しましたが、その半年後に「消費税課税事業者届出書の取下申請書」を提出しました。

事件の争点は?
 本件の争点は、@温泉施設の利用料金等の受取人はX公益法人かB社か?A税務署が取下げを認めなかったことは適法か違法か?でした。

裁判所の判断は?
 原告XがB社に管理運営委託をしていた時は、原告Xは入浴施設とレストランについては何もしておらず、原告Xが事業の具体的な運営について関与していたと認められない。実際に事業を行っていたのはB社であることは明らかであるから、利用料金等はB社が受け取っていたことになる。従って、原告Xの取下げは理由があると認められるので、被告Y税務署が取下げを認めなかったことは違法であるとして、裁判所は原告A公益法人の主張を全面的に認めました。

 

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『ほほえみだより2007年3月号に掲載』