− Tax Seminor −

税理士 中嶋 浩三

「相続税 基本中の基本」
相続税額の計算・税額計算の特例

〜 相続税の計算 K 

 5月号までで相続税の税額計算の仕組みについてみてきました。そして、6〜7月号で相続時精算課税制度について簡単にみてきました。今回は、順番が前後してしまいますが、5月号までの続きとして相続税額の計算の特例について説明したいと思います。
 5月号までで相続または遺贈により財産を取得した方の相続税額の計算を、具体例を挙げて説明しましたが、その税額を一定の場合に軽減される特例があります。それは、未成年者控除障害者控除そして配偶者の税額軽減相次相続控除です。

【未成年者控除】

 相続または遺贈により財産を取得した人が相続人の年齢が20歳未満である場合には、未成年者控除というものを相続税額から控除することができます。
 控除される金額は、その方が20歳に達するまでの年数に6万円をかけた金額で計算されます。例えば10歳の子供であれば(20−10)×6万円で60万円が控除されるという計算になります。
 また、その控除額が相続税額から控除できずに余りが出るような場合には、その未成年者を扶養する義務を持つ方が負担すべき相続税額から差し引くことができます。

【障害者控除】
 相続または遺贈により財産を取得した相続人の年齢が70歳未満で、かつ障害者である場合には、障害者控除というものを相続税額から控除することができます。
 具体的な控除額の計算は、その方の障害の等級によって異なります。
 普通障害者の方の場合には、その方が70歳に達するまでの年数に6万円をかけた金額で計算されます。それに対して特別障害者の方の場合には、その方が70歳に達するまでの年数に12万円をかけた金額で計算します。
 ここで「特別障害者」とは、障害者のうち障害者手帳1〜2級の交付を受けている障害の程度が重い方をいい、「普通障害者」とは障害者のうち特別障害者以外の方をいいます。例えば、50歳の特別障害者であれば、(70歳-50歳)×12万円で240万円が控除額ということになります。
 また、未成年者控除と同様にその控除額が相続税額から控除できずに余りが出るような場合には、その障害者を扶養する義務を持つ方の相続税額から差し引くことができます。

【配偶者の税額軽減】
 今回説明する特例の中で一番金額的に大きな影響があるのが、この「配偶者の税額軽減」になります。この規定は配偶者が相続または遺贈により取得した遺産額が一定の金額以下である場合には、その配偶者に対しては相続税額がかからないという規定です。一定の金額というのは、具体的に次のどちらか多い金額になります。

@1億6千万円 , A配偶者の法定相続分相当額

 配偶者の場合には、最低でも1億6千万円までの遺産額の相続については相続税額がかからないということになります。また、いくら相続財産が多額であったとしても、そのうちの法定相続分の割合に応じた相続であれば相続税はかからないということになります。
このようにこの「配偶者の税額軽減」は、大きな相続税の軽減をすることができる規定ですが、税額が軽減されるからといってこの規定を最大限使うと、逆に税金の負担が重くなってしまう場合もありますので注意が必要です。
 次回、具体例で説明したいと思います。

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『ほほえみだより2008年8月号に掲載』